左から来る

右からは来ません

今週のダイジェスト

“飯食ったか?”

”ちょっと食えるようになった。縁日だし、屋台で一杯飲もう”

 自宅までもう直ぐだけど、まあ良かろう。

僕は交差点の反対側へ渡って車の流れを確認する。

 

”今からタクシー乗って行くわ”

 

まだまだ肌寒い中、ワンカップ片手におっさん二人で屋台。

 

「なんだよ、水みてえだなこれ」

「昔、u80の家でエリちゃんと三人でワンカップとか鬼ころしとか飲んだよな。串カツには合うんじゃない?」

「まあそうだな。いつの間にか俺はスコッチとかバーボンばかりになっちゃったよ」

 

暗い話題に、敢えて暗い話題をぶつけ合う二軒目。

 

「まだ温かい体がな、さすってもさすってもだんだん冷たくなってゆくんだ。そんなので戻ってくるわけねえのにな。『戻ってこい、戻ってこい』と言いながら」

「……辛いよな」

「顔はボンヤリとしか覚えていないけれど、未だに口癖とか声を忘れられんよ」

「やっぱu80って情に厚いよな。こういう時に話を聞いてくれるしさ」

「んなことねえよ、俺は薄情だ」

 

飲み会、送別会、飲み会、送別会、飲み会、そんな一週間を過ごし、飲み疲れ。

筋トレ何日やっていないのかと思うと後ろめたい気持ちになるものだ。

 

そんな後ろめたい気持ちが見させたのか、近未来的兵器に乗り込む夢を見た。

操縦席から広がる風景には、全く見ず知らずの民間人たちが逃げ惑う姿。

 

憎くも何ともない女子供をなぜ殺さなきゃいけないんだろう?

 

迷いながら僕はボタンを押す。すると砲身が放射状に開き、みるみると青みを帯びた光を放ち始める。

 

僕はこんなことをするために生まれ落ちたのか。しかし勤めは果たさねばならない。

 

目覚めて改めて思った。僕は職務を執行するだけのマシーンと大差がないのだろうと。

全くもって嫌な夢だ。

ふと見たスマホには「肝臓を休ませよ」と何の義理もない僕に忠告するお人好し。

僕は日々接点のない人間に対しては何も感じない。呆れるくらいに。

僕じゃなく、きっとこういう奴こそ律儀で情に厚いという表現に相応しき人間なんだ。

お互いに何をして禄を食んでいるのか把握していない間柄ながらも、そう思った。

 

おわり

 

 

 

その後、熊になった自分が、パンダと和気藹々と語らってノミを取るために二人で石を浴びる夢を見た。清々しいほど意味不明なストーリー。きっと春の悪戯なのだろう。

※パンダ2回目

 

u80.hatenablog.jp