読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

左から来る

右からは来ません

難民は暴発するリスクを抱える

そいつは猛々しくうねり、内から外へと今にも飛び出さんとしていた。僕は必死に堪え、上へ上へと足を運ぶ。

 

きっと上は大丈夫だと自分に言い聞かせて。

 

階段の踊り場ですれ違う男の顔は安堵で緩んでいた。あれは2フロア下で見た顔。名は知らない。

 

 

事を無事に済ましたんだね。と僕は羨む。

 

果たして上のフロアも男子トイレは満室だった。諦めるな。更に上にいけば大丈夫な筈だ。
きっと男女比が偏り過ぎなんだ。

 

だから難民が生まれる。日々生まれ続ける。

 その不満を漏らせば、必ず誰かも同意する。

 

慌ただしい時は、タイミングを逸した上で難民になってしまいがちだ。何故なら打ち合わせや、ちょっとした相談が重なるからだ。もう無理矢理に話を切るしかない。誰しも一大事なんて引き起こしたくない。

 

「もしも困ったら電話して。じゃあ、ちょっと席を外しますね」

 

しつこく食い下がられる時は、有り体に言う。さもなくば、僕は使い物にならなくなるから。

 

「トイレ行かせて。本当にごめん。また後でゆっくり」

 

相互理解。思い遣り。大事ね。

マイフレンド、これから僕は僕の居場所を探すんだよ。仮初めであっても構いやしないから。

 

さて、今日は上か下か。